&MEDICAL/&メディカルとは

vol.1  デザイナー・山本和豊さん

クリエイターの健康プロファイル | 2017.10.25

単純に“いいもの”であるということ

プロフィール

デザイナー。dessence代表。2000年にdessenceの前身となる、CDLを設立。2005年に株式会社デッセンスに改名、法人化し、住宅設計からプロダクトデザインまで手がける。2012年、埼玉・熊谷に、2400坪もの敷地にショップ・スクール・ドッグランを併設した複合施設「NEWLAND」をオープンし話題に。http://www.dessence.jp/

 オフィスで〈soft stone neck〉を活用している、デザイナーの山本和豊さん。建築設計から家具などのプロダクト、そして企業のコンサルティングまでと幅広く活躍し、多忙な日々をおくる山本さんに、健康のこと、デザインのことをうかがいました。

*1LDK AOYAMA HOTEL。Photo by Toshiyuki Yano。

もともと健康には気を使ってないほう。
それでも体のためになることは取り入れる。

 僕は埼玉と東京のふたつの場所にオフィスがあって、そこを行き来しながら仕事をしているのですが、〈soft stone neck〉は東京のオフィスにあります。そこはスペースがあまり広くないので床に寝ることができず、〈soft stone neck〉を使うのは、真っ平らなソファーベッド。このソファーベットは硬くて沈まないタイプなので、ゆったりくつろいだりするにはあまり適してない反面、〈soft stone neck〉を使うにはとてもちょうどいいんですよね。ちょっとお茶でも飲もうかなと思うような、ふとしたタイミングで施術しています。1回5分で足りないので(笑)、3回くらい行うことが多いですね。
〈soft stone neck〉は、もともと医療器具をやられている会社さんがつくったものなので、実際に体を預けてみて根本的にモノがいいというのは分かるのですが、何よりもサイズ感がいいなと思いました。一般的なマッサージ器具は、もっと大きいサイズが多いですよね。その点、〈soft stone neck〉はとてもコンパクト。移動させるのも簡単ですし、小脇に置いていても邪魔にならない。デザイン性が高いのでどこに置いても困りません。

 職業柄、首や肩はいつでも凝っている自覚はあるのですが、もともと健康にはあまり気を使わないほうで。健康器具もこれまで購入したことはありませんでした。それでも定期的なメンテナンスとして、整体とサーフィンには通っています。サーフィンはここ20年くらいずっとやっていますね。今となっては健康の代名詞のようになっていますが、20年前はチャラチャラしたイメージしかなかったですよ。周りから見ると健康づくりをしているなんてことは思われず、ちゃんと仕事をしているのか、とみんなに言われていました(笑)。サーフィンのいいところは、首と肩甲骨をたっぷりと動かせること。特に、肩甲骨を動かすと、肺も活発になって、肺が活発になると、酸素をたっぷり取り込めるようになるんです。そうすると脳も活発になって、日中に眠気に襲われる事もなく、いいことだらけ。

 そしてもうひとつ健康で気にしているのは、仕事道具ともいえる椅子ですね。ポイントは、背もたれのリクライニングの硬さ。オフィスチェアは、北欧からアメリカまで世界中でたくさんのメーカーから出ていますが、いろいろ試してみたところ、海外のものは日本人の体重にしてみると硬すぎるのが多いということに気がつきました。身を預けたときに、すっと背もたれがリクライニングしないんですよね。一方、日本のメーカーは日本人に合わせているのでそこはクリアできているのですが、欲しいというデザインがなくて。ようやく「SEDUS」というドイツのメーカーの椅子にたどり着きました。

デザインがいいから、機能がいいから、ではなく、
両者が揃っているのがあたりまえだと思っている。

 僕はデザインの仕事をしながら、インテリアショップも15年以上もやっているのですが、昔から〈soft stone neck〉のデザインを担当したCKR(Claesson Koivisto Rune)のデザインや活動を見てきてきました。だから、〈soft stone neck〉を初めて手にしたとき、丸みのあるフォルムや、優しい印象のファブリック使いが、CKRっぽいなと思ったのが第一印象です。綺麗で柔らさを表現する要素をとり入れてまとめるのが上手なんですよね。

 CKRが医療器具のデザインを手がけたことに関しては、特に驚きませんでしたね。むしろ、そういうのがこの世の中もっと普通になってきてほしいと思うんです。どうしても「このデザイナーが手がけた」ということばかりが注目されがちですが、誰がデザインしたからというよりも、モノを生む背景には、デザイナーや生産工場など、プロジェクトに携わる全ての人が、普通に手を組んでやるのが本来の姿だと思っています。「機能」や「デザイン」だけに注目するのは、いい加減卒業しなくてはいけないのではないかと。世界をみていると、日本はすこし遅れているなと思っています。

何がいいかは、理論でもコンセプトでもなく感覚。
デザイナーはその感覚をつくるのが仕事。

 〈soft stone neck〉もデザイナーと組んだプロダクトとしての注目されがちですが、デザイナーの立場としては、そこよりも、実際に使ってみて単純に”いいもの”としておすすめしたいですね。使用感も、もっとこんな機能があったらいいというリクエストは特になく、とにかく、だしっぱなしにできるというのがいいなと。「風景に溶け込む」「生活に溶け込む」など、〈soft stone neck〉のデザインを表すのに、いろんなかっこいい言葉でも表現できますが、つまりは「おかあさんが、かたづけなくてもいい」ということなんですよね。素敵な演出しなくても、素でその場所に馴染んで適しているのかって、日常生活でとても重要なポイントだと思うんです。友達がやって来て、「なにこれ、いいじゃん、素敵素敵!」というのが本当の素敵だと。そして、そういう感覚に訴えられるものに仕上げられるというところが、デザイナーを入れている最大のメリットだと思います。

 僕もデザイナーとして長い間仕事をしていますが、「コンセプト」や「デザイン性」などの理論武装で訴えるのではなく感覚で選ぶような時代に、ようやくなってきたと感じています。

 たとえば、100円ショップのコーヒーカップと、作り手の思いがある似たようなカップがあるとします。僕らのような専門の人間ならその違いは理解できても、使う側が何を良しとするかは、それぞれの感覚でしかないと思うんです。その感覚をつくるのが僕ら、デザイナーの仕事なんだと。

 さらに、最近はデザインと一言で言っても、グラフィックもプロダクトもインテリアもさらには料理もしたりと、垣根を超えてボーダレスになってきています。実際僕も、戸建住宅から、イベントブースのデザイン、家具のようなプロダクトも手がければ、企業のコンサルティングまでやっています。

 僕が仕事のときに考えているのは、「圧倒的に消費に寄り添っているのか」、または、「圧倒的に可能性を提示できるか」のふたつ。可能性の提示は、何回も何回もブラッシュアップし続けることで、ひとつふたつが普遍的なデザインとして長く愛されるものとなっていきます。手間暇はかかりますが、時間と完成度は比例しますね。または、「気づき」を提案することもあります。例えば、イベントのブースなどは、作って壊すことがいかに無駄な繰り返しかということを気づいてもらいたいという想いでデザインするなどです。あちこちで、サスティナブルと言われていますが、モノだけでなく、考え方を変えていかないと。

*LEVI’Sのもつ長い歴史とこれからの未来を、建築現場で使われている古い足場板に古来から表現され続けている装飾面を削り出す事で表現。Photo by Toshiyuki Yano。

*ベルリンを拠点とするアイウェアブランド「MYKITA」の東京にある路面店の店舗デザインを、本国デザインチームと協働担当。Photo by Toshiyuki Yano。

 そしていま、来年の3月オープンに向けて大きなプロジェクトが動いているんですよ。群馬県の桐生市にある、元和菓子屋さんという200坪くらいの建物をリノベーション中、これまでにない、あたらしいスタイルのアパレルショップが出来ると思います。


〈取材協力〉

DAILIES

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東京三鷹を中心にインテリアショップやカフェなど複数の店舗を展開されています。

「DAILIES」とは毎日や日常を意味するDAILYの複数形です。お客様ひとりひとりの様々な日常生活を大切に、少しだけ豊かにするお手伝いができたら。
そんな思いを込めて日々営業しています。

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