&MEDICAL/&メディカルとは

[特別対談] デザイナーClaesson Koivisto Rune × 大橋秀男【前編】

column | 2017.12.26

&MEDICAL(アンドメディカル)第一弾商品『soft stone』のプロダクトデザインを手掛けた、北欧を代表するデザインユニットClaesson Koivisto Rune(クラーソン・コイヴィスト・ルーネ)と、&MEDICALを事業ブランド展開する株式会社ドリーム代表取締役社長・大橋秀男との特別対談を、前編・後編の全2回にわたってお届けします。

この対談は、2014年11月14日、スウェーデンの首都ストックホルムにあるClaesson Koivisto Runeのオフィスで行なわれました。

 

医療機器デザインへの新たなる挑戦

株式会社ドリーム代表取締役社長 大橋秀男(以下、大橋):私たちは創業からこれまで25年間、さまざまな商品開発を進めてきた中で、プロダクトデザインの重要性について気づかされる機会が多々ありました。ですから&MEDICAL事業では「デザイン」をブランドコンセプトのコアに据えて、開発体制を変革したり、デザインに関わる人員・設備・教育の強化を図っていきたいと考えています。今回のプロジェクトは、こうした取り組みの象徴として、デザインの第一線で活躍されているClaesson Koivisto Runeのみなさんに医療機器のプロダクトデザインをお願いしたいと思ったんです。


Claesson Koivisto Rune(以下、CKR):私たちも今回のお話をいただいて、とても嬉しく思っています。どんな分野でも「デザイン」が重要なことはもちろんですが、特に医療機器の分野においては、これまで機能面ばかりが重視されてきて、デザイン面がなおざりにされてきた感があります。医療機器の開発に、「ユーザビリティを意識した魅力あるデザインを導入する」ことは、新たなユーザー層を取り込んだり、新しい市場への進出も可能になってくるはずです。ヨーロッパでは医療機器は業務用という位置づけで、日本のように一般の消費者にまでは、まだあまり広まっていません。ですから&MEDICALの取り組みは、そうしたヨーロッパの広大な市場も、将来的にはターゲットにできるかもしれませんね。

大橋:そうですね。商品開発と並行しながら、ぜひともそうした海外市場への展開も視野に入れていきたいですね。これまで世界のマーケットで数多くのデザインを手掛けてこられたClaesson Koivisto Runeのみなさんから見て、「デザイン」が持つ役割というのはどういうものなのでしょうか?

 

(出典:http://www.claessonkoivistorune.se/)

CKR:これまで私たちは、家具、照明、テーブルウェア、アクセサリー、オブジェ、携帯電話など、さまざまな分野のプロダクトデザインを手掛けてきましたが、今後は、よりクリエイティブでチャレンジングなプロジェクトに挑戦していきたいと思っています。ですから、今回の&MEDICALの医療機器プロジェクトに参加できることは、私たちにとって非常にエキサイティングで喜ばしいことでした。
製品の分野を問わず、「すべてのプロダクトは、美しく、同時に、機能性に優れているべき」だと考えています。そうした意味で北欧と日本は共に、プロダクトの機能性を重視するという点で共通しているように思います。例えば、イタリアのプロダクトは審美性を重視する傾向にありますが、機能性についてはイマイチな感じです。一方、アメリカでは、サイズ感が重要だったりしますよね(笑)。医療機器のプロダクトデザインは、私たちにとっても初めての挑戦です。しかし、大変に刺激的でチャレンジング、そしてやりがいのある分野だと感じています。ですから今回のオファーをいただいた時は、本当に良い課題をいただいたと思ったんです。

大橋:我々のオファーを快く受け入れて下さり、本当にありがとうございます。今回、&MEDICALが取り組むコンパクトな家庭用サイズのマッサージ機、医療機器のデザインについては、どのような点が大事になってきますか?

CKR:まず医療機器ということで、私たちがこれまで手掛けてきた家具などよりも、プロダクトとしての「信頼性」「機能性」「ユーザビリティ」をより明確に意識して取り組まなければならない、と覚悟を決めました。先ほど「非常にやりがいがあり、挑戦的なデザイン分野」と申し上げたのは、そうした理由からです。

大橋:製品を開発する側の我々にとっても、非常に身の引き締まる言葉です。我々の経営理念の中に「温かな消費を創造する」というキーワードがあります。消費者の日常における生活シーンの中で「温かさをデザインで表現」できるのは、医療機器としての実績があるデザイナーではなく、生活シーンの中で人間とプロダクトとの関係を深く考察しながら、多くの家具や建築をデザインしてこられたClaesson Koivisto Runeのみなさんではないかと直感したんです。

(出典:http://www.claessonkoivistorune.se/)

CKR:ありがとうございます。たしかに、どのようなプロダクトであっても「人間とプロダクトとの関係を深く考察する」ことからデザインをイメージするという大切さは変わりませんからね。ただやはり、私たちにとって医療機器という分野は、これまでまったく経験したことのない新しいマーケットだったので、特に最初のほうはマーケットや製品のリサーチにかなりの時間をかけました。美容機器や医療機器マーケットについての知識を増やし、理解する必要がありました。デザインの独自性、機能性、美しさは、その製品だけを見て考えていても意味がありません。マーケットに存在する他の製品、そこに集まる人々の関心を理解できてこそ、初めて「競争力」を発揮できるデザインになるのだと思います。できれば、競争にすらならない独自のポジションを確立して、長く生き残れるようなプロダクトになれればと考えています。

大橋:そうですね。ちょうど我々も中期三ヵ年の経営計画として、企画やモノ創りにおいて「厳産長育」をモットーに打ち出したところです。厳しく吟味して企画し、一度生み出したものは、マーケットの反応やお客様の声を聞きながらリニューアルを続け、お客様に長く愛されて育てられるような製品・ブランドにしていきたいと思っています。今回の『soft stone』のデザインでは、どういった点を重視されたのでしょうか?

製品が使われていない時でも、絵になるデザイン

CKR:『soft stone』のデザイン開発で一番意識した点は、部屋の中、リビングや寝室に置いてもオブジェのように美しく見えるアイテムにするということです。先ほどもお話したように、今までの世間の常識だと、医療機器は機能面に重きが置かれ、審美性についてはそれほど注目されていませんでした。Claesson Koivisto Runeとしては、その製品が使用されていない時でさえ、そのままリビングルームや寝室にポンと置いたままでも、絵になるようなプロダクトをデザインすることが企画段階での大きなテーマでした。

大橋:使われていない時の医療機器のたたずまいにこだわる。非常にやりがいのあるデザインですよね。我々も機能やスペック、見た目だけを追い求めるのではなく、ユーザーの生活シーンの中でそこにあるだけでいいと思えるような「感動価値」を提供できるようなデザイン、「品質」だけではない「品格」すら体感できるような、そんな存在感を持つプロダクトデザインにとても共感しています。

CKR:うれしいですね。挑戦的な仕事という意味で、私たちにも大橋社長と同じ目標のイメージが見えているように思いました。ぜひそのイメージの実現に向けて、共にチャレンジを重ねていきましょう。

大橋:ぜひ、よろしくお願いします。

(後編へ続く)

デザインは&MEDICAL

 |